本書は、自分のレベルを一段上げ、世界の見方を根本的に変えてくれる本である。
また、もし日本人でない人から、「何か日本のことを書いた本でお勧めはないか?」と聞か
れれば真っ先に紹介したい本でもある。この本は、「武士道」の著者である新渡戸稲造氏が、
西欧社会に向けて日本を紹介する目的で書いたものである。原著は「Representative Men of Japan」。この本では、次の5聖人
1.西郷隆盛
2.上杉鷹山
3.二宮尊徳
4.中江藤樹
5.日蓮上人
についての短編集となっている。私はこの本から、日本人が持つとても美しく大事な価値観を得ることができた。詳しくは本書を読んでもらいたいが、私が気に入っている箇所
を少し抜粋してみる:
西郷隆盛では次の2つのフレーズに感銘を受けた:
(本書、p41)
「人の成功は自分に克にあり、失敗は自分を愛するにある。八分どおり成功していながら、残り二分のところで失敗する人が多いのはなぜか。それは成功が見えるとともに自己愛が生じ、つつしみが消え、楽を望み、仕事を厭うから、失敗するのである」
(本書、p41)
「命を要らず、名も要らず、位も要らず、金も要らず、という人こそもっとも扱いにくい人である。だが、このような人こそ、人生の困難を共にすることのできる人物である。またこのような人こそ、国家に偉大な貢献をすることのできる人物である」
特に「失敗の原因は自分に甘いからだ」というくだりは耳が少し痛いが、多くの人を魅了し続ける度量の広さとはこのような思想・価値観からきているのかと考えさせられた。
上杉鷹山と二宮尊徳に関して見習うべきところは、「言い訳、責任転嫁」をまったくしないところである。過去の莫大な負債(上杉鷹山)や、貧乏で勉強すらままならなかった(二宮尊徳)状態においても、決して不平を言わず「すべての困難の原因は自分にある」という態度で困難を克服し、新しい道を切り開いている。何かの本(リーダーの心得のようなビジネス書)で読んだのだが「世界で起こることすべて自分の責任だと思え」とあった。言い訳や責任転嫁したところで困難・問題は解決はしない。そんな暇があれば、自分の知恵を使って解決方法を探す方がよほどよいとのことだったと思う。上杉鷹山と二宮尊徳はまさにそのような人物である。
中江藤樹は、母が病気である知らせを受け、現在の職を辞して母のもとへ戻ることになった。この時代、藩主の職を個人の都合で辞することは、死刑にも匹敵することであり、それこそ命がけの選択であったはずである。そこで藤樹が言った言葉が印象的であった:
(本書、p119)
「二つの道のいずれをとるべきか、心の中で慎重にはかりました。主君は、私のような家来なら手当を出すことで、だれでも召し抱えることができます。しかし、私の老母は、こんな私以外には誰も頼るものがいないのでございます。」
最後に、故ケネディ大統領は「もっとも政治家として最も尊敬する人は上杉鷹山」と言ったそうである。「代表的日本人」から知ったのではなかろうか。日本人だけでなく、ここに挙げられた人物はいずれも世界に誇れる日本人であるので、まだ読んでない方は是非読んでみて欲しい。